そのほか
2026年版
介護業界の市場動向2026
既存施設が今こそ考えるべき経営の方向性
公開日:2026年4月 / 監修:HELPCARE編集部

この記事のポイント
- 介護給付費は2024年度に約11.9兆円と過去最高。市場規模は拡大し続けている
- 一方で介護事業者の倒産も2024年度に過去最多の179件。「需要があれば安泰」という時代は終わった
- 生き残りのカギは「収益構造の強化」と「業務効率化」。2026年の報酬改定もこの方向を後押し
- 既存施設が特に注目すべきは「ナーシングホーム化(医療的ケア体制の強化)」という選択肢
街を歩けばデイサービスの送迎車が行き交い、高齢者向け住宅が点在している。介護市場の拡大を肌で感じることは多いはずです。
確かに数字でも、その拡大は明らかです。2024年度の介護保険サービスにかかる費用(給付費と自己負担の合計)は約11.9兆円と過去最高を更新し、前年度比で約4,200億円増加しました。10年前と比べると、市場規模は大幅に膨らんでいます。
ところが、市場が拡大し続ける中で、介護事業者の経営は苦しくなっています。2024年度の介護事業者の倒産件数は179件(東京商工リサーチ調べ)と、介護保険制度が始まった2000年度以来の過去最多を記録しました。
なぜ需要が増えているのに倒産が増えるのか。そして既存施設の経営者として、何を考えるべきか。この記事では、2026年時点の市場動向を整理しながら、介護施設の経営を考える視点をお伝えします。
なぜ市場拡大なのに倒産が増えるのか
介護報酬は公定価格であり、需要が増えても事業者が自由に値上げすることはできません。そこに物価高騰・人件費上昇・人材不足が重なり、経営が圧迫されています。
2024年度の倒産の内訳を見ると、訪問介護が86件(全体の約半数)、デイサービス等の通所・短期入所が55件、有料老人ホームが17件です。特に訪問介護は2024年度の介護報酬改定で基本報酬がマイナス改定となり、ヘルパー不足と重なって廃業・倒産が急増しました。有料老人ホームも、過去10年で施設数が約2倍に増え、競争が激化したことで倒産が過去最多水準になっています。
倒産した事業者の9割近くが破産を選んでおり、8割超が資本金1,000万円未満の小規模事業者です。「地域に需要があるからやっていける」という感覚だけでは、経営を維持し続けることが難しくなってきています。
2026年報酬改定が示す方向性
2026年6月には、3年に1度の定期改定を待たない異例の臨時改定が実施されます。改定の最大の柱は処遇改善加算の拡充(全体でプラス2.03%)ですが、もう一つの重要なポイントが、上位加算の算定にICT活用・生産性向上への取り組みが要件として位置づけられたことです。
つまり国は、「高い加算を取りたければ、業務を効率化しなさい」というメッセージを出しています。ICT化や見守り機器の活用、記録システムの整備といった投資は、職員の働きやすさを改善しながら加算収入も増やすという、経営・現場の両面に効く手段として、今後ますます重要になります。
既存施設が今、検討すべき2つの方向性
ここからは、既存の介護施設の経営者が今後を見据えるうえで注目したい方向性を2つ紹介します。
1. 業務効率化による収益基盤の強化
倒産した事業者の最多の原因は「売上不振(販売不振)」ですが、背景には利用者減少だけでなく、コストをかけた割に報酬が追いつかないという収益構造の問題があります。
介護報酬は大きく増やせない以上、コスト効率を上げることが経営の生命線です。具体的には以下のような取り組みが有効です。
- 記録業務の電子化による事務工数の削減
- 見守り機器・ナースコールの連携による夜間対応の効率化
- ICT活用を通じた処遇改善加算の上位区分取得
特に2026年の改定以降は、これらの取り組みが加算算定の要件に直結するため、先手を打って体制を整えることが、競合施設との差をつけるポイントになります。
2. 医療的ケア体制の強化(ナーシングホーム化)
もう一つが、既存施設の機能を「ナーシングホーム」として強化する方向性です。
ナーシングホームとは、看護師を手厚く配置したり近隣の訪問看護事業所と連携したりすることで、医療依存度の高い方も受け入れられる体制を整えた施設(多くは住宅型有料老人ホームをベース)です。
この形態が注目される背景には、明確な社会的需要があります。日本では入院期間の短縮や病床削減が進んでおり、医療的ケアが必要なまま退院を余儀なくされるケースが増えています。しかし、医療依存度が高い方を受け入れられる介護施設は地域によって絶対的に不足しています。
経営面でのメリットも大きく、一般的な施設が「月額固定費+介護報酬」で売上を得るのに対し、ナーシングホームは**「月額固定費+介護報酬+医療保険収入」**という収益構造を持てます。1室あたりの売上が従来型の2〜3倍になるケースもあると言われています。また医療依存度の高い方を受け入れることで競合との差別化が図れ、稼働率の安定にもつながります。
有料老人ホームをすでに運営している場合、大規模な新設投資をせずに既存施設をナーシングホームとしてモデルチェンジするM&Aや業態転換を選択する事業者も増えています。
「需要があれば伸びる」から「構造を変えた者が伸びる」時代へ
2026年時点の介護市場は、ニーズの総量は拡大し続ける一方で、対応できない事業者の淘汰が加速するという二極化の構造が鮮明になっています。
生き残り・成長していくための共通点は、「業務の効率化」と「収益構造の高付加価値化」の2つです。ICT化による効率改善は前者を、ナーシングホーム化は後者を実現する手段として、既存施設の経営者にとって具体的な検討課題となってきています。
業務効率化の第一歩として—ナースコールの見直し
業務効率化に取り組む際、見直しが比較的しやすく効果も出やすいのがナースコールです。夜間の見回り回数や記録業務の負担は、適切な機器の選定で大きく変わります。
HELPCAREは、LTE通信を使った工事不要の無線型ナースコールです。スタッフのスマートフォンで呼出受信・見守り・巡視記録が完結し、介護記録システムとの連携構成も組みやすい設計になっています。2026年の処遇改善加算の上位区分取得に求められる「ICT活用の実態」を、現場の負担なく実現できます。
有線・PHS・Wi-Fi・LTEの4タイプの違い、コストの比較基準、施設規模別の選定チェックリストをまとめた「ナースコール選定ガイド」を無料でダウンロードできます。業務効率化の見直しの第一歩としてご活用ください。
参考・出典
- 東京商工リサーチ「2024年度『老人福祉・介護事業』の倒産調査」
- 厚生労働省「令和6年度 介護給付費等実態統計の概況」
- 厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」
※本記事は2026年4月時点の情報に基づきます。

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