ナースコール
2026年版
介護施設のナースコール基礎知識
ナースコール(呼び出しボタン)とは|種類・仕組みを介護施設向けに解説
公開日:2026年8月 / 監修:HELPCARE編集部

この記事のポイント
- ナースコールの呼び出しボタンは、入居者が職員を呼ぶための入口。押すと親機やスタッフの端末に通知が届く
- ボタンには押しボタン式・握り式・大型タイプ・センサー連動の非接触タイプなど、多くの種類がある
- 最適なボタンは入居者の身体状況によって変わる。「押せない」「押さない」への対応が選定のカギ
- ボタン単体ではなく、設置場所・押しやすさ・運用まで含めて考えることで、呼び出しの取りこぼしを減らせる
介護の現場では、「入居者が呼び出しボタンをうまく押せていない」「そもそもボタンを押してくれない」といった、呼び出しの取りこぼしが課題になりがちです。その背景には、入居者の身体状況とボタンの種類が合っていないというケースが少なくありません。
ナースコールの呼び出しボタンには、実にさまざまな種類があります。標準的な押しボタンだけでなく、軽い力で押せるもの、ひじやつま先で押せるもの、さらにはボタンを押さずに呼び出せる非接触タイプまで登場しています。
この記事では、ナースコールの呼び出しボタンの仕組みと種類を整理し、「押せない・押さない」入居者への対応や、押しやすくする設置の工夫まで、介護施設の視点で解説します。
ナースコールの呼び出しボタンとは(仕組みの基本)
ナースコールの呼び出しボタンは、入居者が職員を呼ぶための「入口」となる機器です。入居者がボタンを押すと、その信号がナースコールの親機や職員が持つハンディ端末・スマートフォンに通知されます。職員は呼び出しに気づき、入居者のもとへ駆けつけます。
近年は「押して呼ぶ」だけでなく、ボタンにスピーカーとマイクが一体化されており、呼び出しと同時に居室と通話できるタイプも増えています。呼び出しの背景を先に確認できるため、駆けつけの優先度を判断しやすくなります。
つまり呼び出しボタンは、単なるスイッチではなく、入居者の安全と職員の対応を結ぶ最初の接点です。どのボタンを選ぶかは、呼び出しがきちんと届くかどうかを左右します。
呼び出しボタンの主な種類
呼び出しボタンは、入居者の状態や設置場所に合わせて、さまざまなタイプが用意されています。代表的なものを見ていきましょう。
押しボタン式(標準・壁埋込・防水タイプ)
最も一般的なタイプです。ベッドサイドに置く標準的な押しボタンのほか、壁面に埋め込む設置型、トイレや浴室に対応した防水型など、設置場所に応じたラインナップがあります。まずはこの押しボタン式が基本形と考えてよいでしょう。
握り式・軽い力で押せるタイプ
握る・曲げるといった動作で、軽い力でも呼び出せるタイプです。指先でボタンを押す動作が難しい方でも、手全体で握ることで呼び出せます。四肢に障害がある方や握力が低下した方に向いており、わずかな力で反応する製品もあります。
大型・ひじ/つま先で押せるタイプ
ボタンの面積が大きく、手だけでなくひじやつま先など体の一部で押せるタイプです。手が自由に動かせない方でも、押しやすい部位で呼び出せます。電池が不要な自己発電式の製品もあり、電池切れの心配を減らせます。
センサー連動・非接触タイプ
ボタンを押す動作そのものが難しい方向けに、息を吹きかける、手を近づける、音を出す、軽く触れるといった動作で呼び出せる非接触・センサー連動タイプもあります。身体のわずかな動きで呼び出せるため、重度の障害がある方でも利用しやすいのが特徴です。
| タイプ | 特徴 | 向いている入居者の例 |
|---|---|---|
| 押しボタン式 | 標準形。壁埋込・防水など設置場所に対応 | 指先でボタンを押せる方 |
| 握り式・軽い力 | 握る・曲げる動作で軽く呼び出せる | 握力低下・四肢に障害がある方 |
| 大型・ひじ/つま先 | 体の一部で押せる。自己発電式も | 手が自由に動かせない方 |
| センサー・非接触 | 息・近接・音・触れるなどで呼び出し | ボタンを押す動作が難しい方 |
※製品によって対応する動作や仕様は異なります。実際の選定では、メーカーに入居者の状態を伝えて相談するのが確実です。
「押せない・押さない」入居者への対応
ボタン選びで最も大切なのが、「押せない」「押さない」入居者にどう対応するかです。標準の押しボタンが合わない場合、状況に応じて次のように考えます。
- 握力の低下・指先が動かしにくい:握り式や軽い力で押せるタイプ、大型ボタンを検討する
- 四肢に障害がある:ひじやつま先で押せるタイプ、非接触・センサー連動タイプが選択肢となる
- ボタンを押す動作自体が難しい(ALS・筋ジストロフィー等):息・近接・音などで呼び出せる非接触タイプを検討する
- 認知症などでボタンの存在・使い方が伝わりにくい(押さない):見守りセンサーやカメラを併用し、呼び出しを待つだけに頼らない体制を整える
「押せない」は身体機能の問題、「押さない」は認知・行動の問題であり、対応の方向性が異なります。前者はボタンの種類で、後者は見守り機器との組み合わせで補うのが基本的な考え方です。
身体・医療的な判断は専門職と連携を
どのボタンが適しているかは、入居者一人ひとりの身体状況によって変わります。ここで挙げた対応は、あくまで一般的な考え方です。
実際の選定にあたっては、看護職員・理学療法士・作業療法士などの専門職やご家族・本人の意向を踏まえて判断してください。センサー連動タイプで押しボタンを完全に置き換えられるかも、状況によって異なります。
押しやすくする設置・運用の工夫
適したボタンを選んでも、設置や運用が伴わなければ効果は半減します。次の3点を押さえておきましょう。
- 設置場所:入居者が寝た姿勢・座った姿勢で無理なく手が届く位置に設置する。トイレや浴室には防水タイプを設置する
- 見やすさ・分かりやすさ:ボタンの色や大きさ、位置を工夫し、どれが呼び出しボタンかひと目で分かるようにする
- 点検と周知:定期的に動作を確認し、入居者・職員の双方に使い方を共有しておく
特に設置場所は見落とされがちです。ボタンが手の届かない位置にあると、どれだけ高性能でも呼び出しにつながりません。入居者の目線・動作に合わせて設置することが、取りこぼしを防ぐ基本です。
呼び出しボタンの見直し・選び方
呼び出しボタンは、入居者の状態に合わせて選び、組み合わせることが基本です。全員に同じボタンを使うのではなく、一人ひとりの身体状況に応じて種類を使い分けることで、「押せない・押さない」による呼び出しの取りこぼしを減らせます。
なお、ボタン単体ではなく、ナースコールシステム全体をどう選ぶか——有線・無線などの通信方式や、スタッフのスマホで受ける仕組みまで含めた検討については、ナースコールの基本を解説したページもあわせてご覧ください。
まとめ:ボタンは入居者に合わせて選ぶ
ナースコールの呼び出しボタンには、押しボタン式・握り式・大型・非接触タイプなど多くの種類があり、入居者の身体状況によって適したものが変わります。標準のボタンが合わない場合は、「押せない」ならボタンの種類で、「押さない」なら見守り機器との組み合わせで補うのが基本です。
ボタンは設置場所や運用まで含めて考えることで、はじめて呼び出しがきちんと届く仕組みになります。まずは自施設の入居者の状態を見直し、合ったボタンになっているかを確認することから始めましょう。
業務効率化の第一歩として—ナースコールの見直し
呼び出しボタンの見直しは、入居者の安心と職員の対応のしやすさに直結します。ボタンだけでなく、ナースコールシステム全体を自施設に合ったものにすることが、現場の負担軽減の第一歩です。
HELPCAREは、LTE通信を使った工事不要の無線型ナースコールです。スタッフのスマートフォンで呼出受信・見守り・巡視記録が完結し、介護記録システムとの連携構成も組みやすい設計になっています。
「ナースコール選定ガイド」では、有線・PHS・Wi-Fi・LTEの4タイプの違いやコストの比較基準、施設規模別の選定チェックリストをまとめています。無料でダウンロードでき、ボタンを含めたシステム全体の選び方を実際の検討作業にそのまま活用できます。
参考・出典
- ナースコール呼び出しボタンの種類・機能に関する各メーカーの公表情報(押しボタン・握り式・非接触タイプ等)
- ナースコールの基本的な仕組み・使い方に関する各システム事業者の公表情報
※本記事は2026年8月時点の一般的な情報に基づきます。対応する動作・仕様は製品によって異なります。入居者に適したボタンの選定にあたっては、専門職やご本人・ご家族の意向を踏まえ、各メーカー・販売事業者の最新情報をご確認ください。

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