ナースコール
2026年版
介護施設のナースコール選定ガイド
介護施設ナースコールの選び方|種類の違い・施設タイプ別の選定ポイントを徹底解説
公開日:2026年6月 / 監修:HELPCARE編集部

この記事のポイント
- ナースコールは「通信方式(有線・PHS・Wi-Fi/sXGP・無線LTE)」と「施設形態・規模」の2軸で選ぶと整理しやすい
- 公衆PHSは2023年3月で終了済み。構内PHSは今も使えるが、旧スプリアス規格や機器供給の縮小という将来リスクがある
- 本体価格だけでなく、工事・保守・将来の更新まで含めた「総コスト」で比べることが失敗を防ぐ鍵
- 小〜中規模の介護施設では、工事不要の無線(LTE)型やスマホ受信型が選択肢として広がっている
- 最適な方式は施設の規模・既存設備・予算で変わる。本記事で判断軸を整理し、詳細は選定ガイドで確認を
「老朽化したナースコールを入れ替えたいが、種類が多くて何を基準に選べばいいか分からない」——介護施設の運営に携わる方から、こうした声をよく聞きます。とくに近年は、長く使われてきたPHSを取り巻く環境が変わり、通信方式そのものを選び直す施設が増えています。
ナースコールは、入居者の安全と職員の働きやすさを左右する設備です。だからこそ「なんとなく今までと同じもの」で決めてしまうと、工事費がかさんだり、数年後にまた入れ替えが必要になったりと、後悔につながりかねません。
この記事では、介護施設のナースコールを「通信方式」と「施設タイプ・規模」の2軸で整理し、選定でチェックすべき基準・費用の考え方・施設別の選び方までをまとめます。検討の地図として活用してください。
介護施設にナースコールはなぜ必要か(役割と設置の考え方)
選び方の前に、まず「なぜ必要か」を押さえておくと判断軸がぶれません。ナースコールは単なる呼び出し装置ではなく、入居者の安全確保とリスク管理の中核を担う設備です。
設置が求められる施設と基準の考え方
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)や有料老人ホームなどでは、運営基準等により、入居者が職員を呼び出せる設備(ナースコールやそれに準じる装置)を備えることが求められています。施設種別や自治体によって具体的な基準・呼称は異なるため、開設・改修の際は所管自治体の最新の基準を必ず確認してください。
つまりナースコールは「あると便利」ではなく、多くの介護施設にとって運営の前提となる設備です。コンプライアンスの観点からも、選定は慎重に行う価値があります。
「呼ぶ」だけではない―見守り・記録連携へ広がる役割
近年のナースコールは、ボタンを押して呼ぶだけの装置から、離床・転倒検知センサーや見守りカメラ、介護記録システムと連携する「システム」へと進化しています。呼び出しに加えて、職員のスマートフォンで通知を受けたり、対応履歴を記録に残したりできる製品も増えました。
そのため選定では「呼び出しができるか」だけでなく、「将来どこまで連携・拡張したいか」までを見据えると、後悔の少ない選択につながります。
ナースコールの種類と通信方式の違い(有線・PHS・Wi-Fi/sXGP・無線LTE)
ナースコールを分類する最も実用的な切り口が「通信方式」です。方式によって、工事の有無・コスト・拡張性・向いている施設規模が変わります。代表的な4タイプを見ていきましょう。
有線式/構内PHS式
有線式は、各居室と詰め所を配線でつなぐ従来型です。安定性が高く大規模施設・病院での実績が豊富な一方、配線工事が必要で初期コストや改修負担が大きくなりがちです。
構内PHS式は、施設内に自前のアンテナを立てて職員がPHS端末で受ける方式です。ここで注意したいのが、PHSを取り巻く環境の変化です。
PHSを使う前に知っておきたい注意点
公衆PHSサービスは2023年3月末で終了しました。施設内だけで使う構内PHSは現時点では引き続き利用できますが、機器の生産・供給が縮小しており、故障時の修理や買い増しが難しくなっていく可能性があります。また、古い機器は「旧スプリアス規格」に該当し、電波法上2022年11月末以降は使用できないケースがあります。これからPHSを新規に選ぶ、あるいは継続利用する場合は、機器の規格と将来の供給リスクを必ず確認してください。
Wi-Fi・sXGP式/無線(LTE)・工事不要型
Wi-Fi・sXGP式は、施設の無線LAN等を活用し、職員のスマートフォンで呼び出しを受ける方式です。スマホ連携や見守りシステムとの親和性が高く、PHSからの移行先として選ばれることが増えています。安定運用には、施設全体に電波が届く無線環境の整備が前提となります。
無線(LTE)・工事不要型は、携帯回線(LTE)を使い、大がかりな配線工事なしで導入できる比較的新しいタイプです。送信機・受信端末を用意すれば運用を始めやすく、配線工事が難しい既存施設や小〜中規模の施設で選択肢が広がっています。施設の電波環境に運用品質が左右される点は、事前に確認しておきたいポイントです。
| 通信方式 | 工事の負担 | 拡張性・連携 | 向いている施設の傾向 |
|---|---|---|---|
| 有線式 | 大きい(配線工事) | 高い(大規模実績) | 大規模施設・病院 |
| 構内PHS式 | 中〜大 | 中 | 既存PHS資産あり(※将来リスク要確認) |
| Wi-Fi・sXGP式 | 中(無線LAN整備) | 高い(スマホ連携) | 中〜大規模 |
| 無線(LTE)・工事不要型 | 小さい(ほぼ不要) | 中〜高(スマホ受信) | 小〜中規模・既存施設の改修 |
※あくまで一般的な傾向です。同じ方式でも製品によって機能・コストは大きく異なります。
施設タイプ・規模別の選び方
同じ「介護施設」でも、規模や運営形態によって重視すべき点は変わります。大手メーカーの大規模向けシステムは、小規模施設にはオーバースペックでコストが見合わないこともあります。施設タイプごとの目安を整理しました。
| 施設タイプ | 規模の傾向 | 選定で重視されやすい点 | 相性の良い方式の例 |
|---|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム | 中〜大 | 安定性・見守り連携・基準対応 | 有線/Wi-Fi(規模次第) |
| 介護老人保健施設 | 中〜大 | 医療的ケアとの連携 | 有線/Wi-Fi |
| グループホーム | 小(1ユニット9名) | 低コスト・工事負担の軽さ | 無線(LTE)・工事不要型 |
| 住宅型有料老人ホーム | 小〜中 | 柔軟性・スマホ運用 | 無線(LTE)/Wi-Fi |
| サービス付き高齢者向け住宅 | 小〜中 | 居室の分散・低コスト | 無線(LTE)・工事不要型 |
とくにグループホームや住宅型有料老人ホーム、サ高住などの小〜中規模施設では、工事の負担と総コストを抑えやすい無線型が有力な候補になります。一方で、医療依存度が高い施設や大規模施設では、安定性と連携実績を優先した方式が選ばれる傾向があります。
選定で外せない5つのチェック基準
方式と施設タイプの当たりがついたら、次の5つの観点で具体的に比較すると、製品選びの精度が上がります。
- 工事の要否と運用への影響:配線工事の有無、改修中も入居者対応を止めずに切り替えられるか
- 総コスト:本体・初期費用だけでなく、保守費・将来の更新費まで含めて比較する
- 拡張性・連携:見守りセンサー、カメラ、介護記録システムなどと連携できるか
- 現場の運用負荷:誰がどの端末で受けるか、スマホ受信や通話・スタッフ間連携に対応するか
- 保守・供給の継続性:故障時のサポート体制、機器が将来も安定して供給されるか
このうち見落とされがちなのが、2の総コストと5の供給継続性です。導入時の価格が安くても、保守や数年後の更新で結局割高になることがあります。PHSの例のように「数年後に使えなくなる」リスクも、ここで見抜いておきたいところです。
費用の考え方(初期+ランニング、相場の幅)
ナースコールの費用は、事業規模・居室数・既存配線の有無・連携する機能などによって大きく変わります。相場は数百万円から数千万円規模とされますが、価格を公開していないメーカーも多く、正確な金額は見積りを取らないと分かりません。
費用を比較するときは、次の3つに分けて見積りを依頼すると、各社の条件をそろえて比べやすくなります。
- 初期費用:機器代、工事費、設定費
- ランニング費用:保守費、通信費、リース・月額料金
- 将来費用:増設・更新の費用、サポート終了時の入れ替え
工事不要の無線型やリース・月額型は初期費用を抑えやすい一方、長期では月額の積み上がりも踏まえた総額で判断することが大切です。
失敗しない選定の進め方
最後に、選定から導入までの大まかな流れを示します。詳しい段取りは別途まとめますが、まずは全体像を押さえておきましょう。
- 現状把握:今の方式・課題(老朽化、PHSの将来リスク、運用の不満)を洗い出す
- 要件整理:施設タイプ・規模・連携したい機能・予算の優先順位を決める
- 比較・資料請求:複数社から同条件で見積りを取り、5つの基準で比較する
- トライアル・現地確認:電波環境や操作性を実際の現場で確認する
- 導入・運用定着:職員への周知と運用ルールづくりまでをセットで進める
まとめ:2軸で整理し、総コストで選ぶ
介護施設のナースコールは、「通信方式」と「施設タイプ・規模」の2軸で整理すると、自施設に合う候補が絞り込めます。そのうえで、工事の負担・総コスト・拡張性・運用負荷・供給の継続性という5つの基準で具体的に比較すれば、導入後の後悔を減らせます。
どの方式が最適かは施設の状況によって変わり、唯一の正解はありません。だからこそ、判断軸を持って比較することが何より大切です。
業務効率化の第一歩として—ナースコールの見直し
ナースコールの選定は、現場の負担と職員の働きやすさ、そして入居者の安心を大きく左右します。とくに通信方式の見直しは、数年先まで影響する重要な選択です。
HELPCAREは、LTE通信を使った工事不要の無線型ナースコールです。スタッフのスマートフォンで呼出受信・見守り・巡視記録が完結し、介護記録システムとの連携構成も組みやすい設計になっています。配線工事の負担を抑えたい小〜中規模の施設とも相性の良い選択肢です。
有線・PHS・Wi-Fi・LTEの4タイプの違い、コストの比較基準、施設規模別の選定チェックリストをまとめた「ナースコール選定ガイド」を無料でダウンロードできます。本記事の判断軸を、実際の選定作業にそのまま使える形で整理しています。
参考・出典
- 厚生労働省「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」ほか各施設種別の運営基準
- 総務省「電波法関係(スプリアス規格の経過措置)」に関する公表資料
- 公衆PHSサービスの提供終了に関する通信事業者の公表情報
※本記事は2026年6月時点の情報に基づきます。制度内容・通信サービスの提供状況は変更される可能性があるため、最新の情報は厚生労働省・総務省・所管自治体・各事業者の公式情報をご確認ください。費用・設置基準の詳細は、施設種別・自治体・製品により異なります。

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